私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ダークナイト」

2008-08-23 20:18:32 | 映画(た行)

2008年度作品。アメリカ映画。
ゴッサム・シティーにジョーカーと名乗る凶悪な男が現れた。街を守るバットマンは新任の地方検事デントの支持を受け、徹底的な犯罪の撲滅を誓う。ジョーカーは、正体を明かさなければ、市民を殺す、とバットマンを脅し、警視総監、デント、デントの恋人のレイチェルを暗殺のターゲットに選んでいく。
監督は「バットマン ビギンズ」のクリストファー・ノーラン。
出演はクリスチャン・ベール。ヒース・レジャー ら。


雰囲気のいい映画だ。
「ダークナイト」というタイトルが示すようにダークな空気が漂っていて、その世界を堪能することができる。

そのダークな側面をあぶり出すのに、悪役のジョーカーが大きな役割を果たしている。
仲間を仲間と思わない冷酷さや、クレイジーと言っていいほど壊れたキャラクターは存在感抜群。ジャック・ニコルソンばりに役をつくり上げた故ヒース・レジャーの思いをそこからうかがうことができる。

バットマンの立ち位置も良かったと思う。単純な正義の味方でなく、周りから嫌われているという設定は「スパイダーマン」を始め最近はよくあるが、それを徹底して描いているあたりが良い。
個人的にはカーチェイスに笑ってしまった。そりゃ、そこまで街の人に迷惑かければ、嫌われるだろうよ、とツッコミたくなるほど無茶で破壊的な暴走を行っており、その容赦のなさがいい。

ラストに向けてさながらジェイムズ・エルロイ原作の映画のような展開に進んでいくが、そこで描かれたアーロン・エッカート演じる刑事の狂気は(やや「ブラック・ダリア」を思わせるが)凄味があるし、メイン級のキャラに対する死の描き方にも妥協はない。
そして「光の騎士」に対し、「暗黒の騎士(ダーク・ナイト)」として生きていくことを決めたラストの選択にも悲壮感が漂っていたのが良かったと思う。

ととりあえずいい点を列挙してみたが、残念ながら僕の趣味ではないため、そういったいい点を認めつつも、僕の心には響いてこなかった。アメコミ特有の設定が、物語世界に没入するのを妨げているように思う。早い話、引いてしまうのだ。どうも僕はアメコミのヒーローものとの相性がよろしくないらしい。
そのため素直に評価はできないが、こういう作品が好きな人もいるのだろう、と納得できる一品だったことは確かである。

評価:★★(満点は★★★★★)


制作者・出演者の関連作品感想
・クリストファー・ノーラン監督作
 「プレステージ」
・クリスチャン・ベール出演作
 「アイム・ノット・ゼア」
 「ニュー・ワールド」
 「プレステージ」
・ヒース・レジャー出演作
 「アイム・ノット・ゼア」
 「ブロークバック・マウンテン」
・アーロン・エッカート出演作
 「サンキュー・スモーキング」
 「ブラック・ダリア」

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